経営者自身が「テクノロジー」×「イノベーション」の最前線に立とうとしているか

第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

「テクノロジー」×「イノベーション」を体現する組織設計の第一歩としては、起こる失敗、トラブルを逃げない、隠さない、ごまかさない組織文化を構築することでしょう。悪い情報こそ報告してほしいといわれても、悪い情報が率先して報告されることは、まずありません。何かが起きたときに、トップや現場がどう対応するかの経験を積み重ねていくしかないことです。2–4~2–7.でも前述しましたが、いかにマイナスの情報が速く入ってきやすい状態にして置くかです。スタートアップとのミーティングはイノベーションを興す最前線です。

なぜ、経営者自身が最前線に立たないか。

必ずしも立つ必要はありませんが、本質は、最先端のテクノロジーを理解し、判断し、最前線に立ち、意志決定できる組織構造になっているか。経営者自身が最前線に立たない場合は、最前線で意志決定できる体制と権限が付与されているか。最前線に立たないにもかかわらず、立たない人間が意志決定しようとすると、限られたリソースでやっている現場は、大変な苦労を要します。最前線に立つことの最大の利点は、スタートアップと信頼の構築できます。経営者自身は、スタートアップとミーティングに同席することをお勧めします。

経営トップに近ければ近いほど、何にどういう判断をするか、専任でない以上まとまった時間をかけにくくなります。また、イノベーション領域は、どうしても属人的になりやすいです。短期的な対処としては、第三者評価でも判断できるよう言語化、見える化し、イノベーションをビジネス化していくプロセス自体の質を担保することがベストでしょう。

中長期的な視点が必要とされるこのプロセスですが、経営者の交代など、骨太な長期戦略やビジョンを構築したところで、経営者が変わると、人がすべて変わり、イノベーションプロセス全体そのものを変えないといけないことも起こります。既存事業との軋轢(あつれき)、経営者交代への対応策をあらかじめ組織として講じておくことは、難易度が高いことですが、避けては通れません。

--

--