変化対応に必須となるリーダーシップ

第四章 イスラエルのイノベーションと関わる際の勘所

コミュニケーション「術」というよりは、コミュニケーションの「ツボ」のお話をしてまいりました。そのコミュニケーション力を支えるリーダーシップが不可欠となります。イスラエル人は、リーダーシップの「塊」のような民族です。リーダーシップが、なぜ必要かと言えば、予測不可能なことが起きた時、組織として「どう」対処するかが問われ優先順位が必要となるためです。当事者意識がないと的外れな対応が増えます。

他者が関与すると不確定要素が多くなります。意志決定にスピードが必要となる場合、何を重視するか(しかもその「何を」が変化する)を決め、組織を動かしていく必要があります。そこにリーダーシップが必要となります。

イノベーションをビジネス化していくプロセスでは、以下の3つのことを念頭に置く必要があります。
◆多様性を許容…人材の多様性を確保、反対意見を推進力とできる組織構築。
◆目標達成…目標管理でなく、達成目線。達成しない場合のプランBの構築、実行。
◆変化対応…不確定要素が多い中で、組織の舵取り。たとえば、「徹底的に、目一杯にやる」というような言葉では意味がなく、「だれが、いつまでに、何を」というようなコミュニケーション」など、「質」を担保し続ける、どうやるかにリーダーシップが必要です。

イノベーションをビジネス化していくプロセスにおいては、より「成果」を「速く」出そうと試みているため、スローガンや組織「制度」だけでは機能しにくく、組織「文化」にしておかないと、変化への対応がどうしても遅れます。「2–5.大きな失敗をしないために」部分でお伝えした通り、人間の心理として、マイナスの情報の報告は遅くなりがちです。気を遣うところは、マイナスの情報をどうやって伝えるかです。マイナスの情報を伝える時のポイント(例えば、①事実②現状③今すぐすること)をしっかり整理して報告する「文化」にしておくことです。

①②は現場の仕事、それでも事態が収まらない場合に③をすることが、経営者や責任者の仕事です。現場まで浸透していると報告に躊躇する時間を短縮化できます。スピード感を要さない報告書であれば、始末書でいいです。ただ、このプロセスでおこることの大抵の判断、特にマイナスの問題への対処は速いに越したことはありません。

報告の際、時系列に報告しがちです。ただ、時系列には、優先順位がありません。上記①②③を考えれば、優先順位は決まります。時系列であると論理的に説明されているような錯覚に陥りますが、時系列は優先順位をわかりにくくします。起きた出来事を優先順位毎にすることで判断速度が速くなります。「なぜ今こういう事態になったのか」その後、事の次第を確認する際に、時系列を確認するという順序がベストでしょう。時系列の報告をすることが目的でなく、起こったマイナスの問題に対処することが目的です。

イノベーションをビジネス化していくプロセスの際に、経営者に求められるリーダーシップは、通常のマネジメントとは異なります。最終章でも詳しく述べていきますが、例えば、経営者は情報をため込みやすいです。このプロセスにおいては、情報をため込まないことが仕事です。情報をオープンにせず、ため込んだ瞬間に、そのプロセスは全て止まってしまいます。情報をため込むということは、イノベーションをビジネス化する「速度」が落ちているということです。このイノベーションプロセス全体を進めていくうえで、情報をため込んでいいことは、一切ありません。

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