CIOチーフイノベーションオフィサーは、CEOレベルが望ましい

第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

テクノロジーは、技術者の仕事、経営は、経営者の仕事として分別していたことは、もはや過去の話になりつつあります。テクノジーやイノベーションを興していくためには、経営者自身が本質的に、テクノロジーを理解する必要があるかはお伝えしてきました。当事者意識を持っているかどうかです。組織の中で、イノベーションの最高責任者は誰なのか。理想を言ってしまえば、CTO と CEO をつなぐ役割ではなく、CTO (技術)と CEO(経営)を統合するような議論をできることが、CIO (チームイノベーションオフィサー)の役割でしょう。イノベーションに対して、真の理解ができていな場合、本来は最大の理解者である CEO がイノベーションを阻害する側に回ってしまうことが起きがちです。

「社外がどういう環境になっているのか」「社内はそれに対してどう動けばいいのか」動かしてこそ経営者の仕事です。組織としてイノベーションに対峙するときの文化、方向性がある程度出来上がっていないと、バラバラになります。方向性を、『テーマ』と『スピード』と『組織』に分解してみましょう。

テーマは、説明不要でしょう。スピードは、何がどうなったらアクションするか、逆にしないか。何がどうなったら、撤退するかです。たとえば、テクノジー1つ判断する際も、「組織としてどういうイノベーションを探しているか共有できているか」「そのためにどういうテクノジーが必要か、分解されているか、分解されていれば、比較検討しやすいため、スピードは速まります。単純化して置くことで、テクノロジー自体のスピードの判断は速まります。ただ、比較検討できない情報であればあるほど、判断に時間がかかります。また、遠慮はスピードを落とします。言いやすい雰囲気になっているか、失敗を許す文化であることも、必要です。全体がいきなり遅くなることはないので、何がどうなって遅くなっているか分解が必要でしょう。

企業がイノベーション対象の決定にも時間を要しますが、実際大変なことは、決定後のスピードの管理です。大抵の場合は、スタートアップのほうが速いため、協働で事業開発などする場合は、それに継続してついていくことを、組織全体としてどう行うかです。

経営者同士の集まり、世間のニュース等を見ていると、どうしても他社目線に引っ張られる。引っ張られつつも、いかに自社目線を的確に最前線に出せる仕組みになっているか。

他社目線に引っ張られると「今は AI である、AI 」と現場に落ちてくると大変なことは、社長から担当役員まで落ちたときに、担当役員にも社長レベルのマインドや視野や本質的なテクノロジーへの理解がないと、組織が右往左往します。いわゆる戦略的ビジョン、アンカーとなるものが個人としても必要で、組織としても、(6–4.独自戦略の要諦 ) のところでふれた、戦略と対象と継続性のフォーカスができていないと、「他社目線」しか判断軸がないため、現場へ来る頃には大揺れに揺れます。いずれにしろ、個人でなく、組織が独自戦略と外部で興る環境変化を受けて判断するような体制になっていないと、一過性のブームに流され続けます。そうなると、場当たり的な事業創造となり、真の事業創造までは到底到達できません。こうした骨格を作ることが CIO(チームイノベーションオフィサー)の役割でしょう。

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