第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

例えば、スタートアップとのコミュニケーションにコミットするといっておいて、ミーティングに参加せず、現場任せにする。自社での姿勢は、当然社外へもそれ以上にわります。トップの行動は何よりのリーダーシップです。アイデアをどんどん出せより、社長自身がアイデアコンテストに10個も20個もアイデアを持ってくる方が、どんな発言よりも効果があります。
率先垂範を、仕組みだけでなく、どう組織文化に落としていけるかが、一番の課題です。一人一人が「人」のネットワークや、培った経験等はなかなか、見える化しにくいです。当然のことですが、「テクノロジー」然り、見える化ができないものでないと、組織としてイノベーション能力を発揮できません。える化ができていないと、人が辞めるといった際のリスクが起こったときの回避ができません。そうした避けられない事態において必要なことは、技術を独自戦略にあてはめ、ノウハウとしてため込んでおけるかどうかでしょう。


第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

テクノロジーは、技術者の仕事、経営は、経営者の仕事として分別していたことは、もはや過去の話になりつつあります。テクノジーやイノベーションを興していくためには、経営者自身が本質的に、テクノロジーを理解する必要があるかはお伝えしてきました。当事者意識を持っているかどうかです。組織の中で、イノベーションの最高責任者は誰なのか。理想を言ってしまえば、CTO と CEO をつなぐ役割ではなく、CTO (技術)と CEO(経営)を統合するような議論をできることが、CIO (チームイノベーションオフィサー)の役割でしょう。イノベーションに対して、真の理解ができていな場合、本来は最大の理解者である CEO がイノベーションを阻害する側に回ってしまうことが起きがちです。

「社外がどういう環境になっているのか」「社内はそれに対してどう動けばいいのか」動かしてこそ経営者の仕事です。組織としてイノベーションに対峙するときの文化、方向性がある程度出来上がっていないと、バラバラになります。方向性を、『テーマ』と『スピード』と『組織』に分解してみましょう。


第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

イノベーションをビジネス化していく際、経営者の役割を紐解いていきます。大きくは、イノベーションの「質」のチェックと、全体の「方向性」チェックです。

経営者自身の仕事は、イノベーションの先頭を走り、イノベーションをビジネス化していくプロセス全体の質を高め、速度を速めることです。重要なことは、何がどうなれば次のステップに行くか、その継ぎ目の見極めです。何がどうなれば、その結節点同士が繋がるか、繋げられるかです。すべてのプロセスに事細かに携わることは非効率ですので、ポイントは、「何がどうなったら意志決定するか」現場に伝わっているかでしょう。


第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

「テクノロジー」×「イノベーション」を体現する組織設計の第一歩としては、起こる失敗、トラブルを逃げない、隠さない、ごまかさない組織文化を構築することでしょう。悪い情報こそ報告してほしいといわれても、悪い情報が率先して報告されることは、まずありません。何かが起きたときに、トップや現場がどう対応するかの経験を積み重ねていくしかないことです。2–4~2–7.でも前述しましたが、いかにマイナスの情報が速く入ってきやすい状態にして置くかです。スタートアップとのミーティングはイノベーションを興す最前線です。

なぜ、経営者自身が最前線に立たないか。

必ずしも立つ必要はありませんが、本質は、最先端のテクノロジーを理解し、判断し、最前線に立ち、意志決定できる組織構造になっているか。経営者自身が最前線に立たない場合は、最前線で意志決定できる体制と権限が付与されているか。最前線に立たないにもかかわらず、立たない人間が意志決定しようとすると、限られたリソースでやっている現場は、大変な苦労を要します。最前線に立つことの最大の利点は、スタートアップと信頼の構築できます。経営者自身は、スタートアップとミーティングに同席することをお勧めします。


第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

私もイスラエルビジネスに携わるようになって、16 年になりました。前章でお伝えした通り、身の回りを見ると、テクノロジーは誰かに任せて、というパターンは多いです。「テクノロジーがわかる人間は、経営目線で見られない」「経営目線で見られる場合は、テクノロジー目線の判断が甘くなる」。ということも起こっており、まずスピードが落ちます。これまでの時代は、分業で社内のテクノロジーがわかる人間に判断してもらえばよかったかもしれません。

小職自身も、もちろんすべての技術に精通しているわけではありません。一方組織としては、「経営目線、技術目線双方で見られる人材」を一人でも多く増やすことが、テクノロジーイノベーションを取り込んでビジネスを成功に導いていく要であることは皆さんもお判りでしょう。(4–4.「経営」「技術」両視点を経営者が持つ影響力) でもお伝えした通りです。
テクノロジーに関しての基本は「知らない単語」が出てきたら調べるにつきます。新しい理論が登場したら、理解する。経営者自身で、具に判断できればベストです。最低限、そのテクノロジーが何をどうしているか基礎的な理論ベースの理解は必要でしょう。そして経営者の仕事は、そのテクノロジーから齎(もたら)すイノベーションが与えるインパクト(社会的な価値、ビジネス上の利益、継続性)を経営者自身で判断することでしょう。


第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

「最先端のテクノロジーを取り込み、イノベーションを興し続け、社会課題を解決でき、ビジネスでも利益を上げる組織をどう運営していくか」。根幹は、経営者自身が「イノベーション」全般の本質を判断し、意志決定基準の言語化ができることです。企業経営(イノベーション、付加価値をビジネス化)にテクノロジーは必要とわかっていても、組織としてうまく機能できない理由は、経営者自身が「イノベーション」全般の本質を判断することができておらず、意志決定基準が言語化できていません。そして、他人に任せてしまう場合です。

経営者自身の仕事は、イノベーションの先頭を走ることです。そして、イノベーションをビジネス化していくプロセス全体の管理を行うことです。その際の心構えというか、勘所をお伝えしておきます。私自身が、よく聞く言葉は、「技術は誰誰に任せている」です。細かい点、1 つ 1 つの技術が他の技術と比べてどうかといった精緻な点は、1 つ 1 つ把握する必要はないでしょう(できるに越したことはないですが…)し、そんな時間はないでしょう。ただ、テクノロジーのポテンシャルや新規性は、経営者自身がその本質を判断できることが望ましいです。テクノロジー」や「イノベーション」を経営の根幹に考えている経営者でありながら、他人任せにしていると組織もそこへの見方が緩くなります。


第七章 日本とイスラエルの関係「深化」のために

5–6.(サムシングニューを忘れるな) でお伝えしたサムシングニューの情報に出くわしたとき、除外しないことは、個人が、テクノロジーそのものを見る時、必要です。組織としてどう対峙するかにおいても、重要です。自社が想定しない情報に出くわしたときに、組織として受け止め、情報を組織の経験値として、ため込んでいく必要があります。個々の情報には、個人として対峙しますが、それを組織として経験値をため込めるかです。

人間はこれまで全く起こったことがないこと、前例がないもの、自分、自社の理解が及ばないものは、遠くに置きがちです。思考停止にならないように、そうしたものを個人としても、組織としても除外することはイノベーションの芽を摘み取ることです。個人として除外しなかったとしても、組織として除外していくことになりがちなので、これを仕組み化していきたいです。例えば、個人だけではなく、組織としても、「サムシングニュー」に出くわしたときは、「なぜ、今まで考えていなかったか」「その情報が入ってきたルートはどこか?」などです。


第七章 日本とイスラエルの関係「深化」のために

シュペンターなど広義におけるイノベーションの定義は、「新結合」を意味します。ここでいう「新結合」は、2 つの異なる価値観がぶつかり合うコミュニケーションの中で生まれます。まず、コミュニケーションを通して、双方何者かがわかり関係がきでます。関係ができてくると、「人」と「人」同士の会話の中で、関係を重ね、信用が生まれてくると、最前線の問題意識が表出します。会話の中でしか表に出てこない問題意識、発信するには気が引けるが腹の中で思っていること、これから進もうと思っている方向や考えのぶつけ合いなどで生まれていきます。こうしたことは心理的、物理的双方の距離が縮まらないと表層には出てきません。オンラインでは、自分が話したいことを話しがちですし、複数人が同時にしゃべると聞き取りにくいなど限界があります。

2020 年は、コロナ禍の中で、オンライン中心のコミュニケーションが増えましたが、オンラインでは、こうしたこと突っ込んだ議論は、やはり向いていいないでしょう。ここで、今後「イスラエルに拠点を置く必要はあるか」について本質的に考えてみましょう。拠点は、必ずしも、置く必要はないですが、あるに越したことはありません。「イスラエルに行かないと、いないと、いい案件に出会えないか?」と聞かれることもあります。この国の特徴は、良くも悪くも「関係値」に依存します。回答としては、いてもいなくても、いい案件を見つけることは可能です。


第七章 日本とイスラエルの関係「深化」のために

今回は人材と組織制度のお話です。例えば、CVC 投資で、スタートアップに投資する場合は、自社の R&D(研究&開発)として使うことを考えることが専門書などでは指南されています。実態は、日本の CVC 投資は、ファイナンシャルリターン目線になりがちです。

R&D(研究&開発)目線を重視した CVC 投資は、イノベーションを獲得することを目的として、スタートアップに投資するようなことが必要だとはわかっています。ただ、頭ではわかっていながら、実際の投資実行は、ファイナンシャルリターンを求めない戦略投資目的と言いつつ、ファイナンシャルリターンを見込める案件に投資されています。この原因の一つは、2030 年、40 年を見据えたビジョンを掲げながら、評価は 3 年でしないといけない組織の評価制度に問題の根本があります。


第七章 日本とイスラエルの関係「深化」のために

独自戦略が定まった後でも、当事者として、イノベーションからビジネス化の全プロセスを見て、時間配分、リソース配分を考える必要があります。イノベーションをビジネス化していくプロセスは、途方もない作業です。自社のリソースが限られている中で、社内ですることだけでも膨大な量があります。少し分解していきます。まず、自社と外部でやることの分割です。自社で時間がかかりすぎることは、外部の専門家を活用することです。競合がその間に先にどんどん進んでいたら話になりませんので、時間を買いスピードを優先します。

一方、社内人材の育成問題は避けて通れません。全部を外部に任せると事業化の「成果」を求める際に、外部目線だけでは不可能であり、自社目線を必要とします。その時に、スピードも落ちます。「社内でやること」と「社外へ任せること」の整理は、独自戦略を構築する早い段階で整理が必要です。

Seiji (Steve) Kato

Isratech.,Inc Founder & CEO Seiji (Steve) Kato URL : http://isratech.jp/

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