組織構造と組織文化両方の変容が必要

第四章 イスラエルのイノベーションと関わる際の勘所

属人化しやすい日々の業務を組織で力を発揮できる形にする必要があります。1 つ 1 つのイノベーションが生まれてくるエコシステムの中で、1 つ 1 つのスタートアップとどう関わっていくか、その活動を自社とどう相関させ価値連鎖を高めていけるか。そもそも、そういう相手かどうか。現地で起こる最前線のアップデートをどう定期的に行うか。

こうした状況下で、よく「駐在員を置こうかどうか」は、悩みどころです。昨今の情勢であるとなおさらかも知れません。駐在員を置くと仮定した場合、本質的な価値をどこに置いておくかを整理しておきましょう。駐在員を置いたところで、人が変わるとゼロからやり直しすることは、避けたいです。

以前、弊社セミナーでこんな質問がありました。「イスラエルのやり方はわかった。日本では無理だと思う、どうしたらいいか?」と質問されたことがあります。この質問は非常に的を射ている質問だったことを覚えています。イスラエルの仕組みを日本にそのまま導入することは無理でしょう。「失敗」に対しての考え方、リスクをとる文化、日本とイスラエルは正反対です。制度や仕組みで整えても、人間の「心」がついていきません。これは、サラリーマン型組織で、「チャレンジした人に適切な報酬を与える」インセンティブ設計をすればいいという問題ではないです。「チャレンジして成功したら、少ない報酬。失敗したら、二度と出世ルートには戻れない」など根本的構造的な問題という認識です。

日本とイスラエルとビジネスを始めると、担当レベルでは進む話が、意志決定段階で止まることは、よくあります。組織構造が阻害しているパターンです。個々人同士では、やり取りはスムーズに進み、その次のプロセスで進まない理由は、組織として失敗を許容できる制度設計にしない限り、この問題は解決しません。当然、組織構造だけを変えようとしても上手く機能しません、組織全体の考え方を変え、それに基づき組織制度を変えていきます。組織制度だけで変えてもマインドは、そこまで醸成されません。組織構造と組織文化の変容を、同時に両方行っていく必要があります。これは、難しいことかもしれません

イスラエルの強さは、組織「構造」ではなく、組織「文化」が浸透し、それに適した組織構造になっているからです。彼らの特徴やマインドセットを基にした組織構造となっています。「失敗に強い文化はどのように醸成されていくか」については、イスラエル式を真似ることや、彼らの本質をプログラムに反映するような小手先では、一切浸透しないでしょう。

例えば、「何がどうなれば意思決定するのか」社内へ明文化できるレベルでの共有。駐在員に全部丸投げせずに、経営者が全責任を持つ。トップがミーティングにでるなどがあるでしょうが、問題に立ち返ると「駐在員をどうするか」の見方が変わってきます。

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Seiji (Steve) Kato
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Written by Seiji (Steve) Kato

Isratech.,Inc Founder & CEO Seiji (Steve) Kato URL : http://isratech.jp/

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