社外のイノベーションと自社テクノロジーの「融合」は難易度最高レベル

第七章 日本とイスラエルの関係「深化」のために

最新テクノロジーを取り入れるだけではビジネス化できない点は、(3–7.革新的なイノベーションだけではビジネス化できない理由)などでもお伝えしてきました。実際は、社外で起こる新興テクノロジー、イノベーションに対して、自社リソースや自社テクノロジーの融合ができない場合ことが多いでしょう。最新テクノロジーを集め、社会目線を持ち、イノベーションを創造し、事業化していくことは、数々のハードルが存在します。社外のイノベーションと自社テクノロジーの「融合」は難易度最高レベルです。

筆頭として挙がる問題は、至るところで起こる人材不足です。「最新のテクノロジーをイノベーションへ繋げる人材」「テクノロジーを全体感でみる人材」「社外活動、社内政治、双方に強い人材不足」「 CTO と CEO を統合する真の意味での CIO(チーフイノベーションオフィサー)人材不足」などでしょう。企業によって上記のような人材は、一人もいないかもしれません。やることは決まっていますが、どうやるかは、全く別の次元です。人材がいない場合、カギとなることは「外部協力」と「教育」です。

私の拙い経験ですが、最新のテクノロジーへアクセスができ、仮にイノベーションを創造、事業化できる入り口までいったとしても、自社内に「人材」がいない場合は、事業化までの到達は困難を極めます。自社内に人材がいない場合、事業化していく際の変化(とくにスピードの変化)やトラブル時に対応できません。変化やトラブルに対応できないと、事業創造は難しくなります。

究極は、買収すればいいかもしれません。ただ、買収できる企業ばかりではありませんので、3 章でイノベーションをビジネス化していくステップを紹介しましたが、7 章では、実際その中核を担う「人材」と「組織」に焦点を当てていきます。掛け声だけのイノベーション戦略ではなく、イノベーション全般に対して地に足の着いた戦略が必要であると考えています。

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