テクノロジートレンド・マーケティングに惑わされない
第一章 なぜ、イスラエルと関わることが重要なのか?イスラエルで何が起こっているのか。
私たちが知りたいことは、「ブームは去った後、今後、私たちはどう関わっていけばいいのか」「ブロックチェーンは死んだのか」など、本質的なところです。トヨタ自動車と提携をしていたブロックチェーンを活用していたライドシェアサービスの Commuterz も 2017 年に廃業しています。情報が少ない中だと、どうしても、大手企業と提携していれば、「大手が関わるから、大丈夫だろう」と思考が停止しがちになります。イノベーションからビジネスを興していく過程にあたっては、そうした単一の事実は何ら根拠になりません。
一方で、ブームが去ったと思われる 2019 年に、決済特化のブロックチェーン技術の「Coti」や、仮想通貨ウォレット「Breez Development 」へ投資したリクルートは、この独自戦略性が高いです。恐らく、ほとんどの人は気に留めていませんが、「今のタイミングでブロックチェーンか」という流れの中なので、さほど注目も集めていない中での投資を行っています。。テクノロジーやイノベーションに対して本質的な理解、自社との関係性などを見ているから、ブームに惑わされず、自社がどのスタートアップと関わるのか決めていることが読み取れます。
同社の「Breez Development 」へ投資の発表資料によると、ブロックチェーン上で取引において現在承認プロセスは、10 分程度の時間を要します。ライトニングネットワークを利用することで、10 分の 1 以下に時間を短縮できる。とあり、テクノロジーの強みに対して投資している点がはっきりしています。
私自身は、テクノロジーの動向に幅広くアンテナを立てています。そうしたこともあり、周辺にもそういう人に囲まれています。この原稿を書いている時点で、私自身ライトニングネットワークという言葉は初めて聞くものではありません。ただ、多くの人にとってこの「ライトニングネットワーク」という言葉は、初めて聞くものであろうと推測します。そもそもよくわからない人が大多数でしょう。
テクノロジーが変遷していく中で、この知らない言葉が、出てきたとき、私たちは拒否しがちになります。「ブロックチェーン」ですら普及が難しい中で、その「ブロックチェーンよりもすごい技術?」と捉えてしまうと、排除しがちな傾向になります。ただ、本来は、そのテクノジーが何を実現できるかを見る必要があるでしょう。私たちは、知らない言葉に出くわしたときは、その新しい用語は、何をどうするのか、短時間でもいいからどういうものか調べておく。「条件反射」的にいわゆる習慣にしてしまうのが、手っ取り早いと思います。
ブームが去った本質的な理由を見ると、「ブロックチェーンは、他の技術で代替できることが多い」ことと合わせ、「 AI が勃興し始めた時期と、ブロックチェーンのブームが去った時期が重なる」とみることもできます。
ブロックチェーンの普及を難しくしている理由の本質を考えると、ブロックチェーンには競合技術が多いのです。AI に基づいた通信技術とブロックチェーンが提供する価値の「差」が見えにくいところは、AI に置き換わっていく。AI の方が、社会浸透度が高いと推測できます。インターネットがそうである様に、その裏側にどういう技術があるかは多くの人は知らないで使っていることが多い。ブロックチェーンも同様に、私達が全く意識しないところで、着実に活用の模索が始まり、広がっていく技術かもしれません。その特性上、私達の見えないところでどこまでそのテクノロジーが浸透してきているかもしれません。ブロックチェーンの本質的価値を、見極め体現した企業が成長を続けています。
これまでインターインタビューで紹介した[vol.2 Backfeed][vol.6 Wave][vol.19 DAV network]などありますが、私たちはこうした企業が、ブロックチェーンを活用していることは、ほとんど意識せずに、テクノロジーの恩恵を受けるようになりつつあり、ブームを益々読みにくくしています。