テクノロジーイノベーションをしっかり掴む3つの視点

第五章 未来においてテクノロジーがどう作用するか

分野横断して全体感を見る統合目線が大事と申してきました。一方で、1 つ 1 つの「テクノロジー」や「イノベーション」をしっかり理解することも大事です。モビリティ、DX 、セキュリティなどの各領域については、想像以上にボリュームが膨らみ、別途、スタートアップ大国イスラエルの秘密 テクノロジー編を現在検討しています。変化の激しい環境で、変化が起きるたびに視点を変えていては、時間がいくらあっても足りません。

変化が起きても、柔軟に対応することが必要でしょう。そのためには、テクノロジーが変遷していく中で、時間経過しても劣化しないテクノロジーを見る『眼』を持つことが合理的でしょう。「どう」「テクノロジー」や「イノベーション」自体を理解するか、3 つの視点をご紹介します。

はじめは、「数字で捉える」ということです。数値は比較することが可能になります。技術を見る際、既存の数値と比較して、圧倒的に凌駕するかどうかを客観的に測りやすくなります。反応速度、反応時間、距離、劣化速度などは、数値にすれば、比較できます。5–10 %増減するだけか、5 倍、10 倍の性能を出すのか。インパクトがあるか。時間が半分になるか、10 分の 1 になるかなどです。比較できると、判断が「速く」なります。

「数字」の源流は「数学」で「数式」の世界になってきます。AI の画像処理の会社に行ったら、アルゴリズムと数式の話が始まったというような逸話も聞きます。AI だけではありません、通信を支える無線テクノロジーは、基本波形になりますので、微分・積分が基礎になります。デジタルの起源は、ブール代数です。などなど、数式は、いわゆる普遍的なものです。

現代では解明が難しいとされているものでも、数値化できるということは、今明らかになっている理論数式に基づくか、明らかになっていない理論や数式に基づいていることになるでしょう。数値化できれば、技術化できる。技術化できれば、ビジネスの可能性が出てきます。「数値化」は、5–2.なぜ未来にテクノロジーは必要なのか。でもふれた「信用」の即時化(ブロックチェーン、認識技術など)へつながります。

2 つ目は、テクノロジー自体を「人間」の機能として捉えることです。テクノジーの進化は、五感に紐づいて捉えます。たとえば、「視覚」。望遠鏡、双眼鏡などは、人間の視覚距離の拡大。眼鏡、コンタクトレンズは、視覚機能の補正です。自動運転車に使われるような衝突回避システムは、人間の「視覚」機能自体の代替です。画像認識技術を車載システムと連携させ認識と判断を両方やろうとしています。

AI(人工知能)は、脳。IoT は、感覚器官の代行。自動車は、足の拡張。など、テクノロジーを人間の機能と結びつけると「自身の言葉」で理解しやすくなります。人間の脳の構造、臓器同士の相関性、記憶や睡眠や意識などまだまだ解明されていないことが実に多いことも特徴です。まだまだテクノジーの発展の余地はありそうです。テクノロジー自体は、人間の感覚器官と関りの中で進化していきますので、テクノロジー全般の発展方向を見る際も役立ちます。

人間の作業を代替するロボットは、その典型です。人間の行動限界があり付加価値の高い作業では、ロボットの高機能化(機能の高付加価値化にテクノジーが寄与)が進んでいますし、そもそも難所作業(悪天候下、極度の高度、深海での作業)は、人間に向きません。ロボットの効率化の究極は、AI などを実装し完全自律的に自動化することでしょう。これが RPA です。一方で、少子高齢化の労働力不足問題を補う簡単な作業(誰がやっても同じ作業、ルーティン業務、農業の収穫作業)の面でも、ロボットの役割は出てきます。スタートアップ紹介でした、Vol.23 Metomotion などです。

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