「テクノロジーを見ること」と「イノベーションを見ること」の違い

第六章 イスラエルとなぜ関わり続ける必要があるのか

一般的にアイデアをカタチにしようとするときは、体系的なテクノロジーの理解が必要となる傾向は、ますます高まります。分野の異なるテクノロジー同士を統合していく必要性が高あります。

「テクノロジー」を見るには、「5–5.テクノロジーイノベーションをしっかり掴む 3 つの視点。」で示したような「数値」などに置き換えることで可能となりますが、あくまで「断片的な知識」の領域を出ません。一方で、イノベーションを見るには、「何がどうなればいいか」を全体の流れ(テクノジー→イノベーション→事業化)として設計できる目線が必要です。今の時代にイノベーションを興すこと、しかも、継続的に起こすことが難しい理由です。たとえば、イノベーションを興すためには、テクノロジー同士を課題に応じてつなぎ合わせます。

近い領域のテクノロジー同士であれば、繋ぎこむことは、さほど特別な能力は必要ありません。一方で、これまでに誰もできなかったような組み合わせで、他の人がまねできない組み合わせ、これまで理論的にはできないような方法を編み出そうとすると、簡単にはいかなくなります。これまでにない組み合わせであるほど、複数の専門知識がないと、そもそも実現の土台にならないばかりか、そういう発想にすら至りません。この過程で、技術者の「枠」は専門領域があることによって、つくられてしまいます。「枠」を外して考えることは、想像以上に難しくなります。

異なる「着想(アプローチ)」自体が頭では重要だとわかっていても、どうしても自社の専門領域に偏ったり、自社の専門領域以外の視点から考えにくくなったりします。日本には、「守破離」があります。2 つ目の「破」るでは、型破りの「型」を破るということは、本質をしっかり捉えないとできません。枠を超えるは、「枠」そのものを疑うことが必要です。

事業においても、既存の「型」「枠」から抜け出し、事業ニーズ(ビジネスになるか)からどういう技術の組み合わせが必要か、社会課題のようなところからの問題点や課題を本質的把握していないと、発想すらできません。社会課題の高度化に伴い、テクノロジー横断で見る、統合目線を必要とするだけでなく、その統合目線にテクノロジーを適切な組み合わせで解決していく視点(イノベーション目線)が求められています。

高度な課題であるほど、それを解決することは難しい分、与えるインパクトは大きくなることもイノベーションの特徴です。社会課題も変容していきますので、私たちのイノベーションを興すプロセスなども柔軟に変え続けられる仕組みが必要でしょう。複数の専門性を持つ、全く違う環境に置く、本質的に考える訓練をするなどで、この「破」はできるようになるでしょう。

一方で、エンジニアは、2つ以上の専門能力はあり、3つ目の専門能力を身につける(多いに越したことはないのですが…)よりも、複数分野のテクノジーに詳しくなっただけでは、イノベーションを興せませんので、本質的な課題を把握できるようにしておくことが望ましいでしょう。事業部門側も、エンジニアとテクノロジー横断目線で議論できるようにしておくことでしょう。