サムシングニューを忘れるな

第五章 未来においてテクノロジーがどう作用するか

3つ目は、「サムシングニュー(Something New)を忘れるな」です。これは、「テクノジー」や「イノベーション」そのものを理解することと合わせ、必要な心構えです。前出の 2 つに比べて難しくなります。

  • 「全く自分(自社)が理解できないものを持ってくるネットワークはあるか」
  • 「自分とつながりあるネットワークは最前線の話か」
  • 「最前線の話を判断できる軸を自社は持っているか、持ってないとしたら社内にあるか」

ビジネスに影響しないと想定されることが、影響してくることがこの世界の恐さです。この「サムシングニュー」は、新興する各テクノジーロジー領域を支えます。コンピューティング、エネルギーの新しいアプローチに始まり、私たちが想定していないようなところから既存手法を取って代わる存在になる可能性も秘めています。1–7.テクノロジートレンド・マーケティングに惑わされないで紹介したライトニングネットワーク、DNA を活用したメモリなど、潜在的なものは数多いです。

「サムシングニュー」の勃興期の盛衰は、スタートアップだけと連携しているだけでは、得られないでしょう。まして、今後自社に影響してくるかは、さらに読みづらいでしょう。読みづらいものは排除しやすくなります。また、理解できないものほど遠ざけ見逃しやすくなります。気づいたときには、自社の事業に影響を与えるようになっています。できるだけ網羅的に見ることを心掛けても、定性的に見るだけでは、どうしても問題意識から漏れてくるので、ある程度の対処が必要になります。

1 つの方法は、4–13.継続的に発展する「文化」でもお話したコミュニティでサムシングニューへの対処をすることでしょう。スタートアップの前段階、一度イグジットした起業家同士のコミュニティ、大学の研究室など変化する社会情勢に対して、最前線の課題が集約し、議論が盛んなところ、人々の本音が集まるところ、「交錯」が起こっているコミュニティでは、「サムシングニュー」の情報と今後の方向性のヒントなどの情報が手に入りやすいです。ヒントだとは言ってくれないでしょうが、コミュニティで入る情報は、あくまで「断片的な情報」ですが、画面から得られる情報とは着眼点が違います。(1–9. 断片的情報を積み上げて変化を察知する)でも触れましたが、「判断する目」が大事なため、問題意識を持っていないと、ヒントとして感じ取れません。

イノベーションへのアクセスや、新しいアイデアを常に得ていきたい目的は、「自社の戦略と合致した環境をどう作るか」に帰結していきます。ただ、同質のものだけでは新しいものは生まれにくく、いかに多様性をもった異質なもの同士が同居し(場合によっては、同居させ)、継続的にコミュケーションできる環境があるか、つまり、偶発的なイノベーション自体の確率を高めることが根源となっていきます。イノベーション自体を興すであろう「新結合」「化学反応」の確率をどうあげるか、「コミュニティ」では、それを興す可能性があります。

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