イノベーション→ビジネス化プロセスの分解
第七章 日本とイスラエルの関係「深化」のために
独自戦略が定まった後でも、当事者として、イノベーションからビジネス化の全プロセスを見て、時間配分、リソース配分を考える必要があります。イノベーションをビジネス化していくプロセスは、途方もない作業です。自社のリソースが限られている中で、社内ですることだけでも膨大な量があります。少し分解していきます。まず、自社と外部でやることの分割です。自社で時間がかかりすぎることは、外部の専門家を活用することです。競合がその間に先にどんどん進んでいたら話になりませんので、時間を買いスピードを優先します。
一方、社内人材の育成問題は避けて通れません。全部を外部に任せると事業化の「成果」を求める際に、外部目線だけでは不可能であり、自社目線を必要とします。その時に、スピードも落ちます。「社内でやること」と「社外へ任せること」の整理は、独自戦略を構築する早い段階で整理が必要です。
社内で重要度の高い業務の筆頭は、イノベーションの「芽」の見極め基準(自社の棚卸含む)の策定と継続性の担保です。何が自社の独自戦略に合致して中長期的なインパクトをもたらすかなどもございます。そのための適切な方法をとり、ルート開拓はできているか。中長期的なビジョンを体現していく必要な人材は揃っているか、揃っていないのであれば、育成プランは出来上がっているのか。(必要な人材は変わっていくが、その準備はできているか)。イノベーションからビジネス化を図るための組織体制はできているか。など、やることは無数にあります。本気で取り組むのであれば、外部でできることは外部に任せ、社内でしかできないことに集中する方が賢明でしょう。
イノベーションのビジネス化を進めていく段階では、「競合他社より早期にイノベーションプロセスを進行させ、ビジネス化」することが目的です。そのポイントは、「イノベーションプロセス自体の速度を速めること」「外部環境の変化にどう対応するか」です。イノベーションプロセス自体の速度を速めることは、
「テクノロジー」
「イノベーション」
「事業化」
の 3 つに分け、外部環境の変化にどう対応するかは、
「組織制度」
「人材育成」
「外部連携」
の 3 つに分けることで、整理しやすくなります。
イノベーションプロセス策定は、丹念かつ大胆さが必要となります。マクロを見つつ、1 つ 1 つ尖ったテクノロジーをミクロに比較して、優れたものを探す努力と合わせ、その 1 つ 1 つが全体にどのぐらいの影響を与えるかも考慮するということです。「事業化」は様々な要因が絡んでくるため、イノベーションの本質をつかんだ組織運営と組織知力をため込むことを行う必要があります。付加価値が高いイノベーションは突発的には生まれず、漸進的な進化の過程で生まれることが多いため、継続して行える組織にしておく必要があります。