イノベーションを見据えた本質をつかんだ組織運営と組織知力の蓄積
第七章 日本とイスラエルの関係「深化」のために
5–6.(サムシングニューを忘れるな) でお伝えしたサムシングニューの情報に出くわしたとき、除外しないことは、個人が、テクノロジーそのものを見る時、必要です。組織としてどう対峙するかにおいても、重要です。自社が想定しない情報に出くわしたときに、組織として受け止め、情報を組織の経験値として、ため込んでいく必要があります。個々の情報には、個人として対峙しますが、それを組織として経験値をため込めるかです。
人間はこれまで全く起こったことがないこと、前例がないもの、自分、自社の理解が及ばないものは、遠くに置きがちです。思考停止にならないように、そうしたものを個人としても、組織としても除外することはイノベーションの芽を摘み取ることです。個人として除外しなかったとしても、組織として除外していくことになりがちなので、これを仕組み化していきたいです。例えば、個人だけではなく、組織としても、「サムシングニュー」に出くわしたときは、「なぜ、今まで考えていなかったか」「その情報が入ってきたルートはどこか?」などです。
イノベーションの最前線に立つ限りは、未知の物に出会うことは避けて通れません。ただ、そうした環境に遭遇した時に適切に対処していけば、自分たちの独自戦略や価値観に基づき、整理し吸収できると組織としてイノベーションの能力が高まっていきます。
たとえば、自社が今後対峙するイノベーションを時間軸で整理している場合などは、短期(1年以内)中期(1-3年以内)長期(3年以上)のどのぐらいのスパンで対応するか。併せて、重要度、緊急度などの指標をもとに振り分ける必要もあります。イノベーションの芽として今後新たに興ってくる対象を、どの期間に含めるか。「個人は知っていたにもかかわらず、対象に含めていなかっただけか」「今回含めようとした段階で、その時と何が変わったか?」など、整理する基準が必要です。
いずれにしろ、個々の活動を組織基準である程度統一し、共有する仕組みや判断指標がないと、時代の先端や、業界の端っこで起こることは、すべてそぎ落としてしまいかねません。イノベーション全般の活動は、最初は個人の活動です。ただ、組織化を見据え常に言語化を心掛けたいです。
経営者自身が、イノベーションの 1 つ 1 つを詳細に理解できない状態でも、ポテンシャルがある場合などは「長期」のところに置いておくなど、今後起こるイノベーションに対しての知見を、個々人、経営者の頭の中でなく、「言語化」して、組織として共有することこそ必要でしょう。第八章は、経営サイドから見る際の視点をお伝えしていきます。