イノベーションが与えるインパクトを経営者自身で判断すること

第八章 テクノジーとイノベーションを体現できる未来型「組織」

私もイスラエルビジネスに携わるようになって、16 年になりました。前章でお伝えした通り、身の回りを見ると、テクノロジーは誰かに任せて、というパターンは多いです。「テクノロジーがわかる人間は、経営目線で見られない」「経営目線で見られる場合は、テクノロジー目線の判断が甘くなる」。ということも起こっており、まずスピードが落ちます。これまでの時代は、分業で社内のテクノロジーがわかる人間に判断してもらえばよかったかもしれません。

小職自身も、もちろんすべての技術に精通しているわけではありません。一方組織としては、「経営目線、技術目線双方で見られる人材」を一人でも多く増やすことが、テクノロジーイノベーションを取り込んでビジネスを成功に導いていく要であることは皆さんもお判りでしょう。(4–4.「経営」「技術」両視点を経営者が持つ影響力) でもお伝えした通りです。
テクノロジーに関しての基本は「知らない単語」が出てきたら調べるにつきます。新しい理論が登場したら、理解する。経営者自身で、具に判断できればベストです。最低限、そのテクノロジーが何をどうしているか基礎的な理論ベースの理解は必要でしょう。そして経営者の仕事は、そのテクノロジーから齎(もたら)すイノベーションが与えるインパクト(社会的な価値、ビジネス上の利益、継続性)を経営者自身で判断することでしょう。

経営者自身でしっかり、テクノジーやイノベーションそのものを理解できる言葉で定義しなおす習慣をつけておくことで、組織の中で、経営者へ報告がくるまでに難解な理論や全く新しいテクノロジーに対して、理解できる言葉で報告しようということにつながります。何よりいいことです。難解なカタカナ言葉、とってつけたような言葉で誤魔化しがきかなくなるし、しっかり言葉を使っている人と、そうでない人が、見極めができるようになります。

経営者自身でテクノロジーを言語化しておくことは、経営者自身、社内だけではなく、スタートアップと直にミーティングする際も、役立ちます。意思決定者自身から、ビジネスサイド、技術サイドどちらからも本質的な質問が飛んでくるとスタートアップとしては、この会社とはやれる可能性があると考えます。少なくともテクノロジーに強い経営者だと伝わると彼らの協力体制を得やすくなるでしょう。

社内への姿勢は、そのまま社外への姿勢となります。経営者自身の問題は、組織に波及、社外へも波及します。

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