イスラエルは、世界のテクノジーイノベーションの先頭を走る
第六章 イスラエルとなぜ関わり続ける必要があるのか
「イノベーションを興すサイクルが速い」といえば、聞こえはいいですが、要するに他の誰よりも速くまずやってみます。イノベーションを興すにあたっては、空気は読んでいたら、スピードが遅くなります。イスラエル人は、「失敗は成功の母(もと)」と本気で思っているので、チャレンジすることが前提になります。技術的限界に立ち止まったときの解決方法は、基本チャレンジであり、また、本質的な考え方をしていないと出てきません、イスラエルは、これが得意です。
「イノベーションが興りやすい」とは、どういうことを言うのか。1つ例を挙げるとすれば、「ゼロイチの発想ができる」ことでしょう。なぜ「ゼロイチ」ができるか。物事の本質を捉えて、既存のルールで打開できなければ、新しいルールを作るところから発想します。ルール自体をどうするかということは、本質的なところで考えていないと議論できません。本質的な思考は、1つのキーワードです。
「5–2.未来にテクノロジーはなぜ必要なのか」で触れましたが、限界に直面した際、課題を解決していくイノベーションは、放っておいても起こりません。大前提として、これまでなかった組み合わせの数を増やすことが求められます。闇雲に組み合わせればいいわけではなく、課題、テーマ、何がどうなれば解決できるかなど土台の上でのアイデアでないと、何ら意味をなしません。「5–6. 自分(自社)が理解できないことへの対処」コミュニティの重要性でも触れましたが、コミュニティでは、いろいろな背景を持った人が集まることで、自分たちで解決できないようなアイデアを第三者に求めることができます。
「3–9.3つのプロセスで成果を上げるためには1つでも引き出しを多く持つ」でお伝えしたカプセル型内視鏡は、まさに既存の方法の限界が来てから、イノベーションの勝負でした。難しいことは、テクノロジーだけ揃っても、イノベーションは生まれないことです。「着想(アプローチ)」と「実現化の手段(テクノロジー)」の両視点がないと、イノベーション自体は生まれません。当事者意識を持ち、課題に対してテクノロジーを組み合わせていかないと、イノベーションは生まれません。
私たちが解決できていない課題は、一筋縄ではいきません。イスラエルの強さは、課題を解決しようというプロセス(チャレンジしよう)が血肉化されており、日々の生活に浸透していることです。イノベーションの「塊」のような民族です。