なぜ、未来にテクノロジーは必要なのか
第五章 未来においてテクノロジーがどう作用するか
「現在不可能とされることを、実現可能な土台に持ってくる」ためにテクノロジーは必要とされます。既存の方法が限界に到達したとき、行き止まりにぶつかったとき、新しいテクノロジーが、それまでになかった「プランB」「プランC」の可能性を生み、実現可能な状態に近づきます。イノベーションの中でも、テクノロジー同士の今までになかった新たな組み合わせのは、限界を突破していくきっかけになります。
ただ、テクノロジー的な限界の突破において、継続路線の技術開発目線だけでは難しいです。過去取り組んだことがないような課題に対しては、単純にテクノジー同士を組み合わせるだけでなく、問題の本質を捉えた新たなアプローチ、新しい発想が必要です。
テクノロジーの価値の顕著な本質的なことに2つ触れます。1つは、「1–4.変化を予測する重要性」で触れましたが、価値連鎖の一角を形成できる付加価値(テクノロジー)があれば、全体に多大な影響を与えることができます。まるで、ゾウの中にハエが入り込んで、そのゾウをコントロールするかの如く、全体の中では小さな役割しか占めないパーツが、全体に大きく影響を及ぼします。
もう 1 つ近年の特徴としては、フィジカルとデジタルの境界が曖昧になっている点です。盛んに聞こえ出した DX(デジタルトランスフォーメーション)。「何がデジタルで何がデジタルでないのか」という概念ではなく、「デジタルありきでそれをどう活用するか」という目線へと価値変容を起こしています。
「なぜ、未来にテクノロジーは必要なのか」については、識者の数ほど答えがあるでしょう。多くの人がそうであるように、テクノロジー自体の重要度が増してきていることは皆さんも感じることでしょう。私たちがテクノロジーを必要とする背景は、私たちの経済社会においては、「信用」「スピード」「収益」の上に成り立っています。テクノロジーは、それを支えるものです。
あくまで、『スタートアップ大国イスラエルの秘密』エグゼクティブ編では、経営者の皆様でもテクノロジーの本質をしっかり掴んでいただくことを目標としております。私の本来のポジションである「未来に必要なテクノロジーを、どう理解すればいいか」テクノロジー1つ1つと、テクノロジー同士を横断して統合するような目線、テクノロジーの本質を捉えて時代の流れを読むようなことまで記していきます。