なぜ、スタートアップ単独ではなく、エコシステム視点が重要なのか

第六章 イスラエルとなぜ関わり続ける必要があるのか

イノベーションをビジネス化していく過程では、失敗はつきものです。スタートアップ1社とだけつき合い、その会社が失敗してしまえば、元も子もありません。そのため、スタートアップと単独ではなく、テクノロジー全般の変化が起こる接点を多く持つことコミュニティやエコシステムを主導したほうが良いことは、なんとなくわかってきたのではないでしょうか。また、合わせて、

  • 「 1 社とだけつき合って、業界のスピード変化を感じ取れるか。」
  • 「 1 社とだけつき合って、トレンド全体をカバーできるか。」

答えは、No です。

つまり、イノベーションの変遷スピードが速い中で、特定の 1 社としか提携せず、いつの間にか競合に抜かれているようでは、本末転倒です。いざ、スタートアップと連携しようとすると、今関わっているスタートアップがベストだという経過をもとに決定をしますが、1 年後もその会社が、ベストであるとは限りません。

そこで、多くの事業会社では、特定の 1 社ではなく、ポートフォリオを組みます。まず始めることは、ここでも「自社の投資基準を明確にすること」「どの領域にどう進もうとしているか」の独自戦略の構築です。そして、事業会社が特定のスタートアップと付き合うときは、「相手の価値創出プロセスに自社が関わること、貢献することできるか」が本質です。ただ、貢献よりも、自社が今後戦略的に強化したい領域などであれば、主体的に動く必要があります。業界によっては、エコシステムの一部を形成するだけでは、十分でないかもしれなません。資金がふんだんにない場合でポートフォリオを組めないときに必要な策が、(エコシステムを主導するような、変化を作り出す側に立てるか) でもお伝えしたエコシステムを主導することです。

エコシステムと関わっていけば、現地の最前線のイノベーションへのアクセスができると考えやすいです。そう易々とは、行きません。

日々他の業務に追われると、どうしても「点」でのアクセスでしかも受け身になりがちです。目利きをしてベストとされる「点」でアクセスしても、2 年もたてば、大きくトレンドが変わります。3 年先は、全く読めません。そうした状況では、変化は感知できないでしょう。また、テーマではなく、テクノロジー全般の移り変わり感じられるかどうかも、まず無理でしょう。ある領域で自社が進めているイノベーションのスピードが速いか遅いか、外部の方が速いか遅いか、こうしたことも無理でしょう。1 社だけのスタートアップだけでは、その辺りの肌感覚は掴みにくいです。

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